こんにちは、某電機メーカーで機械設計をやってますヒノモトキョウジです。
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いきなりですが、今回は製造業ではお馴染みの工程能力(Cp, Cpk)のお話です。
片側公差と片側規格の違い
よく片側公差と片側規格を混同して使われることが多いですが
工程能力指数が絡むと
全く別の意味を持ちます。(重要
片側公差とは、一般に 1.5 +0.1/0 のような片振りの寸法公差を言い、
対義語としては、両側公差があり、1.5 ±0.1 等と表されます。
一方、片側規格とは、工程能力絡みでよく使われる言葉で
判定基準がただ1つだけの規格のことを言います。
例えば、0.3以上(0.3MIN)とか、1.4以下(1.4MAX)などです。
なので、片側公差=片側規格ではありません。(マジ
よって、片側公差のCpkと片側規格のCpkといった場合、
意味が全く違うものになります。
この辺はよく勘違いして混同している人がわんさかいるので
あるある過ぎてお腹いっぱいです。
下手すると会社全体で勘違いしている会社があったりします。(驚愕
この辺をお客様に指摘されたりすると
自社の技術力信頼性を低下させますので(やべぇ
気をつけましょう。
片側公差のCpkとは?
結論から言うと、両側公差のCpkと同様に計算します。
+0.1/0 の場合、USL(上限規格値)が+0.1でLSL(下限規格値)が0なだけです。
0/-0.1 の場合、USLが0でLSLが-0.1なだけです。
何も難しくありません。普通に計算式に当てはめて計算するだけです。
片側公差(両側公差)のCpk計算手順
Googleセンセに聞けば山ほど記事が出てきますが、
念の為、計算手順を示しておきます。(念
STEP1:データを集める
まずは測定データを集めます。
扱う製品によりますが、主にサンプル数N=30個〜100個くらいが一般的です。
工程能力の前提として、測定データが正規分布であることが挙げられます。
測定データが正規分布しているかどうかは、
ヒストグラムで確認します。
STEP2:平均値(μ)、標準偏差(σ)を計算する
次に測定データの平均値と標準偏差を計算します。
エクセルの数式で簡単に計算できます。
平均値: =AVERAGE( )
標準偏差: =STDEV( )
※( )内にはセルの番号が入ります。
STEP3:Cpを計算する
次にCpを計算します。
Cpは測定データの平均値が規格中心値と全く同じである場合の工程能力です。
※現実には、測定データの平均値と規格中心値はズレます。
Cp=(USL-LSL)/(6×σ)
USL:上限規格値、LSL:下限規格値、σ:標準偏差
STEP4:Cpkを計算する
次にCpkを計算します。
Cpkは測定データの平均値と規格中心値のズレを考慮した場合の工程能力です。
※こちらは現実とよくマッチします。
計算方法は2通りありますがどちらでもほぼ同じ値になります。
ちなみに私は②が好みです。
Cpk計算式①:
Cpk=MIN{(USL-μ)/(3×σ), (μ-LSL)/(3×σ)}
Cpk計算式②:
Cpk=(1-K)×Cp
K=|{(USL+LSL)/2}-μ|/{(USL-LSL)/2}
片側規格のCpk計算手順
次に片側規格のCpk計算手順を示します。
結論から言うと、片側規格のCpk=Cp とすることが多いです。
片側規格には規格範囲という概念がないため
規格中心値が存在しません。
そのため、測定データの平均値とのズレを考慮できないのです。
つまり、片側規格のCpkは存在しないことになります。
なので、「片側規格のCpkなし。」としてもいいですが
片側規格のCpk=Cp とすることが多いです。
という訳で片側規格のCpの計算式です。
Cp=(USL-μ)/(3×σ) :上限規格
※例:**以下、**MAX
Cp=(μ-LSL)/(3×σ) :下限規格
※例:**以上、**MIN
まとめ
以上、まとめます。
・片側公差と片側規格は意味が違う
・片側公差のCpkは両側公差のCpkと同様に計算する
・片側規格のCpk=Cpとすることが多い。
片側公差(規格)のCpkの話が出た場合は、
話している人がどちらを意図しているか
確認してから話を進めましょう。(大事
最後まで読んでくれてありがとうございます。